核家族化がすすみ、その家族で新たに墓を建てることが増えるにつれ、お墓の意味や価値は昔と今では変化してきています。先祖代々のお墓であれば、子どもはなくとも、その親戚の子どもたちが守ってくれたのでしょう。しかし、その家族で新たに建てるとなると、自分の子どもが子どもを作らなかったら、そのお墓はそこで誰にも守られることなく放置されてしまうのです。そのために、最近では散骨や永代供養が検討されるようになりました。
永代供養とは、墓をお参りする家族がいなくても、お寺が責任をもって守ってくれる仕組みのことです。墓石一つを一定期間守ってくれるところもあれば、合祀という形式で、他の方々と一緒に供養してもらう方法もあります。しかし、一般の墓のように、個別の墓を永代供養してもらえるという場合に、それは永遠に守ってもらえるというわけではありません。ある一定の期間、例えば13回忌、例えば33回忌とお墓によって決められた期限をもって、個別に供養し、あとは骨を合わせて合祀という形になります。
人は亡くなるときに、やはり誰かに供養し先々まで覚えておいてもらいたいと思うものなのでしょうか。先祖代々のお墓をお参りするのは、先祖への敬意と、この家系を先祖に守ってもらいたいという気持ちの表れであることが多いでしょう。そうだとすると、見送る人がいない故人はどう思うのでしょう。そればかりは、そのときになってみないとわからない心情なのでしょう。